04年の資源エネルギー庁の試算より3円もはね上がった。便利なことに内閣官房のホームページに載っている「発電コスト試算シート」を使えば、為替レートや燃料価格の変動を「すぐにアップデートできる」(松村敏弘東京大学教授)。エネルギー分野の専門家に、試算の修正を依頼した。IEA(国際エネルギー機関)の「WorldEnergy Outlook 2013」から概算してもらうと、注目すべき結果が出た。
原発は下限ですら10円以上。どこまで上がるかわからないのだ。この2年間に東京電力の要賠償額見通しは約1兆円から約5兆円、除染費用は中間貯蔵施設の建設費も含めて1兆1500億円から3兆6千億円、廃炉費用は1兆円が2兆円に増えた。放射性廃棄物の最終処分費用は見通せない。また、遠隔地の原発から大都市へ電気を送る電源線費用などは除外されている。
原発の発電単価は1兆円の経費増で0.1円上がる。事故リスク費用は、保守的にみても10兆円程度、追加されよう。石炭火力より高くなった原発を「低廉」と言うのは無理がある。
※AERA 2014年3月17日号より抜粋