国内はもちろん、今や海外にも多くのユーザーを抱える無料通話アプリ「LINE」。11月7日に発表した今年7~9月期の売上高(単体)は156億円になった。公表を始めた12年4~6月期は3億円で、実に50倍以上に拡大した。そんなLINEの売り上げの中で、いま急成長しているのが企業向けの「公式アカウント」だ。
企業はアカウントを取得すると、登録してくれたユーザーにメッセージで直接、情報を発信できる。月に数回、新商品やセールの情報を配信し来店を促す、といった使われ方が一般的だ。テレビや新聞などマス媒体の広告効果が低下する中、メッセージが画面にポップアップで表示され、必ず目に留まるLINEの「訴求力」は企業にとって魅力と見え、12 年6月のサービス開始以来、各業界大手の100社以上が契約する。
12年6月のサービス開始と同時にアカウントを設けたローソンの「友だち」数は1200万人に迫り、もはや全国紙の購読部数を上回る。同社はLINEのほかにも20以上のSNSのアカウントを持ち、会員総数は1550万人。そのうちLINEが7割を占め、フェイスブックの48万人を大きく引き離す。ローソンでは「Lチキ30円引き」などのクーポンを月に1~2回配信。それを求めて来店した客は累計50万人に上る。来店すれば飲料も、雑誌もと「ついで買い」も見込めるという。
アカウントを持つ企業の平均友だち数は約320万人。リーチの広さと購買を喚起する力を求め、LINEの商談スペースは連日大盛況という状況で、
「こちらが対応しきれず、新規のアカウント枠は毎週3社に絞らせていただいています」(田端信太郎・LINE広告事業グループ長)
※AERA 2013年12月9日号より抜粋