朝日新聞出版は2023年2月21日(火)、書籍『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』を発売しました。ともにヘルスコミュニケーション学関連学会機構副理事長を務める、西南学院大学外国語学部の宮原哲教授と京都大学大学院健康情報学分野の中山健夫教授(医師)の共著です。短い診察時間でも医師とコミュニケーションをしっかり図るにはどうしたらいいのか、患者のための解説書となる一冊です。
この記事の写真をすべて見る体調が不安で、医師にいろいろ相談したい。そう思って病院に行ったのに、いわゆる「3分間診療」に、十分な会話もできずに帰ってきたという人も多いのではないでしょうか。診察時間を長くすることは難しくても、満足できる診療を受けることは可能であり、そのためには「コミュニケーション力」が求められます。近年は、コミュニケーションが治療の効果や患者・家族・医療者の満足度に大きな影響を与えることも明らかになってきました。短い診察時間でも医師とコミュニケーションをしっかり図るにはどうしたらいいのか。本書は、患者のための解説書です。
本書の第4章では、医療の「あるある」を8つのケースで示します。それぞれのケースで、エピソード1では患者が力を発揮できず、関係がまずくなっている状況を、そしてエピソード2で改善後を「ビフォーアフター」として展開します。
【目次】
まえがき
第1章
医師とのコミュニケーションで困ったことはありませんか
コミュニケーションがうまくいけば、治療効果も上がる
・医師と良好なコミュニケーションができたら
・短い診察時間でもコミュニケーションの質は高められる
・「聞く」「聴く」「訊く」
・患者力とは、立場・役割を考える力
第2章
医療者と「対等」な関係を築く
・重要視されるようになってきた「共有意思決定」(SDM
・最適、最高の医療に必要なのは「対等」な関係
・対等な関係を築くために患者にできること
第3章
真のコミュニケーション力
どんな場面でも実践できる「コミュニケーション上手」とは?
・コミュニケーションに関する5つの誤解
・誤解1 コミュニケーションはたくさんとれば安心、安全
・誤解2 日本人(家族、同僚、友だち……)だから言わなくても分かってもらえる
・誤解3 人間のコミュニケーションには言葉が一番大切
・誤解4 何よりやさしさ、思いやりが大事
・誤解5 コミュニケーションはそのうちうまく「なる」
・治療効果アップのための患者コミュニケーション力=発信力・認識力・役割力・目的力
第4章
ケース別に解説 医師との会話・失敗例と成功例
・ケース1 持病の薬を変えたい
・ケース2 ネットで調べたので分かってる
・ケース3 セカンドオピニオンをもらいたい
・ケース4 原因不明ののどの症状、精密検査をしてほしい
・ケース5 ケガをして手術前、医師から「次は家族と一緒に」
・ケース6 治療法を選んで、次回までに決めてきて
・ケース7 抗がん剤治療を続けるか、やめるか
・ケース8 医師が提案する抗がん剤治療を断りたい
第5章
患者が医療者とともに創る「共育」の関係
・医療だからコミュニケーション、それともコミュニケーションするから医療?
・患者と医師は「共育」の関係
・患者に求められるコミュニケーション力
・患者になる前に考え、身につけておきたい力
あとがき
『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』
著者:宮原哲、中山健夫
発売日:2023年2月21日(火曜日)
定価:1540円(本体1400円+税10%)
四六判196ページ