「少子化が進む中、大学進学率はこの20年間で25 %から50%へと増えた。受験者数を保ちたい大学側は科目を減らし、理系でも数学の試験がないという大学さえあります。推薦や付属高校からの入学で無試験の学生が多く、早稲田で6割、日大で7割とも言われている。大学に対する学力への信頼はかなり揺らぎ、一般入試の比率が高い大学を選ぶ動きもあります」
そのほか、00年代から主流になったネットの就職情報サイトにも罪があるという。ある企業は800人程度だった応募者数が10万人に急増。エントリーシートや学力テストを課し、大学名で区切り、3千人に絞ってから選考を始めている。大手企業でも数人しかいない採用担当者が、効率的に選考を進めるため、学歴は「門前払い」に使われている。
採用担当者を経験した男性会社員(45)も、学生の学歴が採用担当者の免罪符に使われていると明かす。
「新卒採用は基準があってないようなもので、その学生が実際にどれだけ仕事ができるかはやってみないとわからない。人事の責任を問われた時のことを考えて、SPI(適性検査)で高得点だとか東大卒だとか、何か理由がある方が安心できます」
※AERA 2013年9月2日号