キャンプ・ミーティング/ブルース・ホーンズビー
キャンプ・ミーティング/ブルース・ホーンズビー写真・図版(1枚目)| 『キャンプ・ミーティング/ブルース・ホーンズビー』
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ジャズ・ファンとロック・ファン双方の架け橋になるか
Camp Meeting / Bruce Hornsby, Christian McBride, Jack DeJohnette

 アルバム・デビューから20年を数え、「米国ポピュラー音楽界の良心」と呼ばれるヴォーカリスト&キーボード奏者がブルース・ホーンズビーだ。今年リッキー・スキャッグスとの共同名義のカントリー作をリリースしたばかりのタイミングで、再び他流試合に挑んだことに驚かされる。しかも今回はヴォーカルなしのジャズ・トリオ・プロジェクトときた。

 パット・メセニーを迎えたアルバム作りやジャジーなアドリブ演奏等で、以前からジャズへのシンパシーを表明していたホーンズビー。本作は3人の共同名義だが、レーベルと本人プロデュースの事実から、ホーンズビー主導の企画制作であることは明らかだ。

 マクブライドとディジョネットという世代の異なる実力者とトリオを組んだことも特筆ものだが、選曲がこれまた興味深い。パウエル、モンク、マイルス、コルトレーン、オーネット、キースと、ジャズ・ナンバーがずらり。それらのいずれもが耳心地の良さを狙ったのではなく、このトリオの独自性を打ち出した演奏であるのがまた驚きだ。もっと早くこんな企画作が世に出ていてもおかしくなかった、と思わせるホーンズビーのピアノ演奏のみならず、電気的処理を加えたドラムス&キーボードで意欲的にコミットしたディジョネットのナイス過ぎる仕事が、参加作の域を超えていて素晴らしい。本作がジャズ・ファンとロック・ファン双方の架け橋になれば、3人のミュージシャンたちにとってもこれ以上ない幸福であろう。

【収録曲一覧】
1.Questions And Answers
2.Charlie,Woody And You
3.Solar
4.Death And The Flower
5.Camp Meeting
6.Giant Steps
7.Celia
8.We'll Be Together Again
9.Stacked Mary Possum
10.Straight,No Chaser
11.Un Poco Loco/Chant Song

ブルース・ホーンズビー:Bruce Hornsby(p) (allmusic.comへリンクします)
クリスチャン・マクブライド:Christian McBride(b)
ジャック・ディジョネット:Jack DeJohnette(ds)

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