ソフトバンクのガラケー売り場。ソフトバンクとKDDI(au)は、最も人気のある「iPhone」を大きく展開しているが、ガラケーの販売も続けている(ビックカメラ有楽町店) (撮影/今村拓馬)
ソフトバンクのガラケー売り場。ソフトバンクとKDDI(au)は、最も人気のある「iPhone」を大きく展開しているが、ガラケーの販売も続けている(ビックカメラ有楽町店) (撮影/今村拓馬)
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 携帯電話=スマートフォン(スマホ)と言ってもいいほど、最近はスマホが台頭してきた印象がある。しかしながら、スマホが伸びてきたからこそ見える、ガラパゴス携帯、通称ガラケーの良さがある。

 ガラケーを使う人たちは「萌え」の要素があるとの指摘がある。携帯事情に詳しいITライターの池田園子さんは言う。

「スマホが珍しくなくなった今こそ、ガラケー男子、ガラケー女子は萌えられるようになったのです」

 男性にも女性にも共通して萌えられる「メールが丁寧」という点から見ていこう。

 スマホユーザーの多くは、日本発の無料通話アプリ「LINE」のメールやフェイスブックのメッセンジャーを使う。

 これらのメールはチャットのように使われる。たとえば、「おはよう」といったあいさつから入力し、相手が反応すれば「明日なんだけど」という順で進められるのだ。つまりスマホユーザーは、メールとして用件を含めた完成形を初めから送ろうとしない場合が多い。

「ガラケー男子のメールは、完結しているし、本当に丁寧」(神奈川県在住の26歳女性)
「絵文字などを駆使していて、心象風景がよく伝わる」(京都市在住の41歳既婚男性)

 では、女性がガラケー男子に萌えるのは、なにゆえか。

 先の女性によると、ガラケー男子は食事をしていても、目の前の会話に集中するという当たり前のことができているという。

「スマホ男子は、デート中に携帯を触る。デートに関係することを調べているんだか、フェイスブックに関係ないことを書き込んでいるんだか分からない。その点、ガラケー男子は目の前の会話に集中してくれます」

 池田さんによるとガラケーとスマホでの大きな違いは、食事や会議などの際、机の上に携帯を置くかどうか、だという。

「ガラケーのときは、携帯はバッグやポケットの中に入れておくものでした。それが、スマホになると机の上に置くどころか、触って操作してもいいというふうに変わってしまった」

 当たり前になったがゆえに、本来は失礼だということに気づかなくなったというのだ。 しかも、スマホを持っていると段取り力もなくなる。

「食事の場所もその場で調べられるので、スマホ男子は事前の用意が不十分なことが多い。なのに、地図アプリで正確な場所にたどり着けなかったら、ドン引きです。ガラケー男子は事前に地図も調べてくれるし、相談もしてくれる印象が強い」(先の女性)

 男性にとってガラケー女子はどうだろう。先の男性は話す。

「流行に流されていない感じがするし、IT知識がなさそう。教えてあげることもできるし、SNSに代表されるネットにも依存していないでしょう。だから『萌える』んです」

 SNSへのアクセスが少ないからこそ、余計なことで気をもむ心配はない。自分へのメールの返信がないのに、ツイッターやフェイスブックは更新していた、などの事態は避けやすいというのだ。

AERA  2013年7月29日号