少子高齢化が進み、働き手が激減する。グローバル化が進む一方、日本経済の地位は低下する。一方で、新興国は大きく成長を遂げると見込まれている。2025年の仕事を占う。
新興国の成長は日本に思わぬ成長産業を生む可能性もある。農業だ。経団連は、中国が50年にはGDPで日本の6倍程度に成長し、日本人より豊かな人は約3億人になると予測する。その中国は中東やアフリカに重点的に投資をしており、アフリカは次の成長地域と目されている。クレディ・スイス証券の市川眞一チーフ・マーケット・ストラテジストはこう話す。
「25年には、新興国の多くの人にとって食が重要な関心事項になる。牛乳や牛肉の需要は急増し、穀物も大量に必要になる。世界中で食料価格が上がり、その中で日本の農業が大きく見直される」
介護分野については見方がわかれる。高齢化が進めば介護に人手が必要になり、産業として発展する可能性が高い一方、社会保障制度への不安や労働人口の減少が、高齢者の労働力化を促す可能性もある。そうなれば、医療の発達を追い風に、70、80歳まで働くというシナリオが現実味を帯びる。介護を受ける人は当面増えず、この分野はそれほど伸びない可能性があるのだ。
働く環境が激変する中で、日本人の働き方には何が起きるのか。再編淘汰で企業数が減るということは、働く場の喪失を意味する。人材サービス大手インテリジェンスの須東朋広氏は仕事の高度化、専門化を予測する。
「今後は前例のない課題、そもそも何が問題かわからない課題を解く必要がでてきます。25年には大学院修了レベルが、高度経済成長期の大卒レベルと見なされるようになる」
5、6回の転職で専門性を磨くことが当たり前になり、それができなければ競争からは脱落して低賃金の雑用係に。勝ち残った層は40、50歳で経営者になり、80歳の専門職が部下としてバリバリ働いている--そんな未来像が描けそうだ。
※AERA 2012年12月10日号