『ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト1970』『Neil Young Archives 1』のDisc5と同じ内容。購入は、計画的に。
『ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト1970』
『Neil Young Archives 1』のDisc5と同じ内容。購入は、計画的に。

 少し時間的な流れを整理しておこう。クレイジー・ホースと名乗ることになる3人のミュージシャンとの運命的な出会いをへて、1969年5月に『エヴリバディ・ノウズ・ディス・イズ・ノーホエア』を発表したニールは、その直後、CSNと合流。ウッドストックへの出演などをはさんで、しばらくアルバム制作に専念することとなる。並行してソロ3作目の制作も行なわれていたわけだが、その間に彼は、クレイジー・ホースのギタリスト、ダニー・ホイットゥンの深刻なドラッグ依存という問題も抱えることとなったのだった。

 明けて70年の2月と3月、ニールはクレイジー・ホースとともに短期間のツアーを行なっている。3作目はまだ完成していなかったが、ダニーの状況が若干好転したということだったのかもしれない。アーカイヴ・シリーズ最初の作品として2006年秋にリリースされた『ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト1970』は、そのツアーの後半、3月6日と7日、ニューヨークのフィルモア・イーストで残された音源をまとめたものだ。ニール、ダニー、ラルフ・モリーナ、ビリー・タルボットに加えて、バックに徹するスタンスでジャック・ニッチェも参加している。

 コンサートはニールのソロ・アコースティック・セットとクレイジー・ホースとのエレクトリック・セットで構成されていたそうだが、アルバムに収められているのは、後者。曲は『エヴリバディ~』からタイトル・トラックと「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」、「カウガール・イン・ザ・サンド」の3曲、編集盤『ディケイド』のみ収録の「ウィンターロング」、のちに『エヴリバディーズ・ロッキン』に収められた「ワンダリン」、そしてダニーが書いた「カモン・ベイビー・レッツ・ゴー・ダウンタウン」。

 トークは簡単なメンバー紹介だけ。少し前に愛器となったレスポールを抱えてマイクスタンドの前に立ち、ニールはライヴに没入していく。14分超の「カウガール~」など、どの曲も、ニール&クレイジー・ホースというライヴ・ユニットの特異性、可能性、魅力を納得されてくれるものだが、ダニーを含む編成でのライヴはこれが最後ということになってしまう。[次回5/27(月)更新予定]

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大友博

大友博

大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。dot.内の「Music Street」で現在「ディラン名盤20選」を連載中

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