新型コロナウイルスの影響で、中野サンプラザは白いマスクと半透明のケースに入れられたアルコール消毒液がものものしい雰囲気だったが、70~80年代にロックライブが開催されたサンプラザに詰めかけた客の多くは音楽専門誌「ロッキング・オン」や「ミュージック・ライフ」を熱心に読んでいたであろうビジネスマンで、スーツ姿の彼らは開演を今や遅しと待ちわびていた。
開演するや、ステージの円形モニターからレーザービームがすっと伸び、ほぼ完全再現という煌びやかな照明に神々しさを感じた。
「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」「タイム」「マネー」と息もつかせぬスペクタクルに歓声が上がり、風の効果音とともに披露された名曲「吹けよ風、呼べよ嵐」には会場が総立ちとなった。
トータル2時間半に及ぶトリビュートライブの終演後、SNSでのプログレファン同士のやりとりは深夜まで続き、ロックは世代を一つにする力強い音楽だと改めて思った。
※週刊朝日 2020年3月20日号