春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が絶賛発売中!
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が絶賛発売中!
イラスト/もりいくすお
イラスト/もりいくすお

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「不要不急」。

【画像】子どもたちよ、一之輔が待っている…!

*  *  *

 これを書いている本日2月27日。今現在、仕事のキャンセル続出中である。

 昼、新宿末廣亭の楽屋にいた30分の間に、中止決定もしくは延期検討の連絡が4件。池袋演芸場に移動したら2件メールが入った。帰宅するとまた1件……。途中から仕事先の主催者の電話番号が表示されただけで半笑いだ。先方は力ない声で「お察しだとは存じますが……」、こちらは「ヘイヘイ、カシコマリマシタ。シカタナイデスヨネ、マタヨロシクオネガイシマス」と機械のように応えるのみです。

 まったく弱い商売だ。おっしゃる通り、落語なんて『不要不急』なものである。「あってもなくてもいい商売」ならぬ「なくてもなくてもいい商売」だもの。でもさ、もうちょっと『不要不急』なもんに関わる人のことも考えてもらいたいよ。

 政府は3月中旬まで大規模なイベントの『自粛を要請』している(2月27日現在)らしいけど、『要請』ってなんだよ? 『自粛』なんて『要請』するものじゃないだろう。感染拡大を阻止するためにイベントを中止させたいなら、いっそのこと『命令』にして、少しでも損害を埋めるよう補償を施すことは出来ないのかね。補償したくないからなんでしょうが、中途半端だよ。

「判断はお前らに任すよ。たぶんみんなやめると思うよ。だってこの雰囲気でホントに出来んのか? やらないほうがいいと思うけど、まぁそのへんはあくまで自分たちで決めろよなー。集団感染でもしたら大変な騒ぎになるけどね。ホントやめといたほうがいいけど、強制はしないよ~ん」なんて腹の内の声が聞こえてきそう。被害妄想? はい、そうかもしれませんがね。

 顔色うかがって右にならえで、即中止にするのもどうなんだ?「チケット買ったけど行くのを控えたい人には払い戻しするが、万全の対策の上に開催します」というイベントもあったっていいだろう。だってあくまで『要請』なんだもの。こんなことが続いて日銭が入ってこなくなったら、首くくらなきゃならない人が続出だ。政府が暗に『自己責任』を強いてるんだから、こちらも堂々と『自己責任』のもとやったらいい。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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