会社は従業員や顧客、地域社会のものと考える森永さん。ウェルチ元会長について「格差を拡大して人の生活を壊した」と指摘する。
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長はウェルチ元会長の路線に近い人物と、森永さんはみる。
経営が傾いた日産に出資した仏ルノーから送り込まれ、工場売却やリストラで経営を立て直した。その後は巨大市場の米国や中国に経営資源を傾注し、拡大路線を推し進めた。
一方で、競争が激化する米国市場で販売拡大を推進するあまり、ディーラーへの販売奨励金を過大に投入した。最近の経営悪化の要因の一つを作ったとみられることも、ウェルチ元会長と似ている。
ウェルチ元会長が辣腕を振るった80年代は、英国でマーガレット・サッチャー首相、米国でロナルド・レーガン大統領が登場した。
「弱いやつは死んじゃえ。自己責任だ。稼いだやつの勝ち」
そんな時代だったと森永さんは振り返る。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2020年3月20日号