2001年5月、東京都内で記者会見したGEのジャック・ウェルチ会長(当時) (c)朝日新聞社
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 米国で発明王のトーマス・エジソンを源流とする電機メーカーといえばゼネラル・エレクトリック(GE)。「選択と集中」を唱えて事業多角化やリストラを推し進め、同社を世界有数の巨大複合企業に育てたジャック・ウェルチ元会長が3月1日、腎不全で死去した。84歳だった。

 ウェルチ氏は1981年に会長兼CEOに就任、2001年まで経営トップを務めた。世界1、2位になる事業だけに特化する考えの下、不要と判断した部門の売却やリストラのほか、必要と判断した企業の合併・買収(M&A)を断行した。

 金融関連会社を相次ぎ買収する一方、半導体事業などを売却。電機メーカーから金融事業にかじを切り、時価総額が約40倍に拡大したことも。「20世紀最高の経営者」「経営のカリスマ」などとも呼ばれた。

 ただ、退任後のGEは米国同時多発テロや08年の金融危機で経営が大きく傾き、金融事業撤退など事業多角化を見直さざるを得なくなった。

 ウェルチ元会長を「新自由主義の権化」とみる声もある。経済アナリストの森永卓郎さんはこう話す。

「人や会社を道具と考え、必要なときは雇うが不要になるとリストラし、必要な会社は買い、要らなくなると売り飛ばした。いまの新自由主義の経営をつくり、世界中に広げた」

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