野党は、「国民の命に関わる一大事だ」と強調した手前、対策策定で政府に協力する姿勢を示すなど、「カッコよく」振る舞うしかないから、今後は大きな問題はない。安倍政権は、野党の要求をどんどん取り入れる抱き付き作戦に移るはずだ。野党が主導権を握ったようにも見えるが、対策実施のたびに、首相の「決断」「リーダーシップ」と安倍首相の宣伝に使える。提案段階から巻き込まれた野党は今後、この問題で強く政府を批判することはできない。今国会は6月17日閉会だが、コロナ終息にはまだ時間がかかるから、安倍政権はこの問題で相当程度、時間稼ぎができるだろう。

 五輪がなくなれば、五輪で一連のスキャンダルリセットという元々のシナリオは崩れ、誤算ではある。しかし、7月5日には東京都知事選という一大政治イベントがある。そこで、小池百合子東京都知事を推して与党圧勝となれば、反転攻勢の第1段ロケットに点火だ。秋にはコロナ終息後の反動による景気回復という第2段ロケットも期待できる。そうなれば、秋に衆議院解散総選挙というオプションもあり得る。

 何もしなければ死に体必至だった安倍首相とすれば、「まずまず」の展開。今井秘書官はそう考えているのかもしれない。

週刊朝日  2020年3月20日号

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