動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい猫(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、愛知県豊田市足助町の「つかずはニャれず」です。
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中山間部の農家の暮らしを再現した「三州足助屋敷」に、毎朝10時頃、猫のタマは出勤する。しかし、特に愛敬を振りまくでもなく、客引きするわけでもなく、地面でゴロンゴロン。
それからついて来いとばかりに坂を上り、井戸の前で顔を見上げるので、水をすくってやると、手元から水を飲む。
坂の上のお寺に着くと、一度こちらを振り向き「あばよ」と言わんばかりに一声鳴いて、縁の下へ。何とも、つかず離れずの心地よさ。昔昔の人と猫の暮らしに、しばし思いを馳せた。
デジタル岩合
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※週刊朝日 2020年3月6日号