林:最後にパリコレにいらしたのはいつですか。
原:震災の年の2011年。3月10日に帰ってきました。
林:震災の前の日ですね。
原:そのときいろいろ考えて、もう私にとってパリコレは潮どきなんだろうなと感じたんです。普段の仕事をしながら、航空券やホテルの手配、招待状のオファーなどすべてを一人でやるのは限界と感じて。
林:フリーとして行くとなると、飛行機代とかホテル代とか全部ご自分で払うんですか。
原:そうですね。2度目から、2、3回例外はありますが全部自費で。
林:そのお金を全部集めると……。
原:けっこうまとまった額でしょうね。でも、そうやって「自分で行く」と決めて行ったから、あれだけ必死になって見て考えたんだと思う。空き時間は一人でデパートの生活雑貨売り場やアンティークの店をのぞいたり、好きなように歩いて見てまわれてよかったです。コレクションはしっかり見ようとノートを必死にとり、それはそれでおもしろかった。
(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)
※週刊朝日 2020年3月6日号より抜粋