駒形どぜう 浅草本店 どぜうなべ/江戸時代に一膳めし屋として創業。のれんをくぐれば江戸情緒漂う広い座敷が広がる。名物「どぜうなべ」(1850円)は、あらかじめ酒で臭みを抜いたどじょうに甘味噌で下味をつけているためクセなく食べやすい。薬味のネギと相性よく、身はホクホクとして骨までやわらか。玉子でとじた「柳川なべ」(1980円)も人気。店主おすすめ、京都・伏見の酒もぜひ合わせたい。税別 (撮影/写真部・片山菜緒子)
駒形どぜう 浅草本店 どぜうなべ/江戸時代に一膳めし屋として創業。のれんをくぐれば江戸情緒漂う広い座敷が広がる。名物「どぜうなべ」(1850円)は、あらかじめ酒で臭みを抜いたどじょうに甘味噌で下味をつけているためクセなく食べやすい。薬味のネギと相性よく、身はホクホクとして骨までやわらか。玉子でとじた「柳川なべ」(1980円)も人気。店主おすすめ、京都・伏見の酒もぜひ合わせたい。税別 (撮影/写真部・片山菜緒子)
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駒形どぜう/浅草本店東京都台東区駒形1-7-12(営)11:00~21:00L.O.(休)大晦日・元日 (撮影/写真部・片山菜緒子)
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※この連載が一冊の本になりました。『著名人50人が自腹で通う隠れ家 人生最高のひと皿』(小社刊。週刊朝日編集部)、好評発売中。
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 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、エジプト考古学者・吉村作治さんの「駒形どぜう 浅草本店」の「どぜうなべ」だ。

【「駒形どぜう 浅草本店」の店内写真はこちら】

*  *  *

 ずいぶん昔の話になりますが、僕が東京学芸大学付属高校に入学した時、家族みんなでお祝いをしたのがこちらのお店。父が江戸友禅の手描き職人だったので、浅草にお客さんが多くて行きつけにしていたんです。

 はじめて目にする「どぜうなべ」は正直ちょっと気味が悪くて、箸が進まなかった。見かねた父が取り皿に入れて「ほら、食べろ」って半ば無理やり食べさせられましてね。ところがひと口食べたらぜんぜん臭みがなくて、想像以上においしくて驚いた。それ以来、父によく連れていってもらいました。

 あれから60年以上経ちますが、店構えも当時と変わらず風情がありますね。江戸情緒がさらに料理をおいしくさせます。近頃はひとりでふらっと出かけて、入り口近くの小さなテーブル席で熱燗をちびちびやりながら鍋をつつくことが多い。僕はいつもささがきごぼうを足して、ネギをたっぷり盛って食べるのが好み。思わず酒が進みます。くじらベーコンも最高のつまみになりますよ。

(取材・文/沖村かなみ)

「駒形どぜう 浅草本店」東京都台東区駒形1‐7‐12/営業時間:11:00~21:00L.O./定休日:大晦日・元日

週刊朝日  2020年2月21日号