「今まで出会った人間を含めたすべての生き物の中で、つくしが一番カワイイと断言できます」
岩尾望さんはトイプードルの愛犬つくし君(8歳・オス)を優しく見つめながらそう話した。
8年前、お付き合いしている彼女が犬を飼いたいと言いだし、友人たちも飼っていたこともあって、犬との暮らしもいいかなと思い飼い始めた。
「今は彼女はいなくなり、犬だけが残りました」
実は岩尾さんは、自分の記憶としては残っていないが、小さいときに大きな犬に追いかけられ、犬は怖い存在だった。
「今も大きい犬はちょっと怖いですねえ。でも、つくしは8歳になった今も、朝起きて見たとき、『ワァー、カワイイ』って、声が出てまうんですわ」
と溺愛する岩尾さんであるが、過剰に可愛がったりはしていないという。
「クリスマスやハロウィーンなんかで衣装着せて写真撮ろうとすると嫌がるんですわ。そんなんせんかて、十分映(ば)えるやろ、ゆーてるようです」
つくしと暮らし始めて、岩尾さんの生活は大きく変わった。朝、散歩に出かけ、そこで顔見知りになった人とランチに行くこともあるという。
「僕は自分からは仲間に入っていくようなタイプやないんですが、つくしがガンガン行くんで、それでワンちゃん連れの近所の奥さまたちと仲良うなりました。こんなん、つくしがおらんかったら考えられませんよ」
つくしは散歩をしているとすれ違う人から「カワイイですね」と声をかけられる自慢の存在でもある。
「一瞬で、それも無条件でどんな人も笑顔にできる、ホンマ、すごいですわ。僕もお笑いを仕事にしているのですが、つくしにはかなわないな思います。憧れ、ほんで尊敬できる存在になってます」
犬を飼い始めて、当初はかわいいだけの存在という気持ちだったのが、こんな感情が湧いてくるとは思わなかったという。
「人を笑顔にしてまうだけでなく、人との接し方も、ほんで生き方も教えてくれてるようです。もう先生のようです」
それらの素養を自然に身につけているところもすごいと、つくし自慢が止まらない。
お話の最後に岩尾さんはこう強調した。
「つくしは僕よりスター性ありますね。僕がかなえられへんかった大スターになれるんちゃうかな」
(文/本誌・鮎川哲也、吉川明子)
※週刊朝日 2020年2月14日号