今月放送開始のドラマ「テセウスの船」に出演する竜星涼。本格ミステリー作品で、事件の行方を左右する謎の人物を演じる。
「この作品ではカメラマンさんからの要望で、男性の出演者はほぼノーメイクなんです。シリアスな作風を生かすため、肌の質感を生かしたナチュラルな姿を出したい、と。画面に味が出て、リアリティーのある映像になっています」
リアルさを求める作品となれば、より一層の演技力も必要とされるわけだが、それを歓迎している。
竜星自身は、役者としてのターニングポイントを一昨年に出演した劇団☆新感線の舞台「髑髏城の七人」だったと語る。
「舞台には、すごい表現力を持つ魔物のような人がいっぱいいるんだと知らされました。その人たちが熱量や技術を集約させて、目の前にいるお客さんを巻き込んでいくんです。今年の夏には、パルコ劇場のこけら落としになる三谷幸喜さんの舞台『大地』に出演させていただきます。また錚々(そうそう)たる共演者の方々から勉強させていただく。修業に行くようなつもりです」
舞台が始まるまでの上半期は、多くの映画撮影に挑む。映画は演じるのはもちろん見るのも大好き。気になる作品の上映が重なった場合は、1日に4本鑑賞したこともあるとか。最近気に入ったのは、
「中国作品の『芳華 Youth』と韓国作品の『工作 黒金星と呼ばれた男』です。『芳華』は若い男女の物語で、その中に戦争などが入ってきて、美しくも儚いみずみずしい青春がよく描かれています。映像美もすごい。『工作』は、北朝鮮に潜入した韓国のスパイの話。出演者たちの目つきだけで、独特の緊張感が伝わってきて、手に汗をかいてしまいます。両作品とも、ものすごい熱量を感じます。日本映画なら『宮本から君へ』。これを見て、熱量ってすごく大事なんだなと感じましたよね」
何度も「熱量」という言葉を用い、語り続けた。ドラマに映画に舞台に、今年は竜星の熱量が注がれる。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2020年1月17日号