関東学生連合を率いる麗澤大の山川達也監督=撮影・大崎百紀
関東学生連合を率いる麗澤大の山川達也監督=撮影・大崎百紀
この記事の写真をすべて見る
関東学生連合の主将を務める東京大の阿部飛雄馬(C)朝日新聞社
関東学生連合の主将を務める東京大の阿部飛雄馬(C)朝日新聞社
関東学生連合のメンバー、麗澤大の宮田僚=撮影・大崎百紀
関東学生連合のメンバー、麗澤大の宮田僚=撮影・大崎百紀

 第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2020年1月2、3日に開かれる。予選会で敗退した大学の選手たちで編成される関東学生連合(学連)を率いるのは、2年連続で麗澤大の山川達也監督だ。ある思いを持って大会に臨む。

 麗澤大は19年10月の予選会で、本大会に出場できる10位以内に入れず、2年連続で次点だった。温和な山川監督が悔しさをにじませる。

「正直もう少し(上に)行けたかなという思いです」

 学連チームの監督は、予選会次点となった大学の監督が務める。山川監督は2年連続でチームを置いて箱根に行くことに気が引けた。そんな時、植田陽平(3年)の言葉に救われた。

「監督には、また箱根を見てきてほしい」

 1年前の予選会後も、同じように声をかけられたのを思い出した。

「(別の)選手の父親からです。『選手からもらったプレゼントだと思って箱根を見てきてください』と」

 今は前を向いている。

「学生連合のチームであっても、団結力を持って、大学は違うけれど次の走者のことを思って笑顔でタスキを渡してほしい。前回も映像にはちょっとしか映っていないかもしれませんが、みんなしっかり走り切ってくれました。その部分は今年も見てほしいです」

 目標は10位以内相当のタイムを出すこと。主将は東京大の阿部飛雄馬(4年)=10区エントリー=が務める。創立2年目の育英大の外山結(2年)=5区エントリー=もメンバー入りした(いずれも区間は大会当日に変更の可能性あり)。

「箱根駅伝は小さい頃からの夢。チャンスを逃さないで必ず走りたいです。学生連合として活動できる期間は短いけれど、合宿などを通してチームとして団結を深めたいです」(外山)

 監督と一緒に参加する麗澤大の宮田僚(4年)=補欠エントリー、大会当日に変更の可能性あり=は前回大会で、観衆の整理にあたる走路員を務めた。

「悔しさを忘れないために、陸上部の寮の自分の部屋の前には、その時に着用していたブレーカーを今も飾っています。一人一人走る思いも大学も違うけれど、自チームへの思いを背負いながら走る姿を見てほしいと思います」

 関東学連駅伝対策委員長で、山梨学院大監督の上田誠二さんは言う。

「彼らも、自分がやってきたことを疑っていない。そういうものを含め、『信じる気持ちを未来に運ぶ』。これが箱根駅伝なのではないでしょうか」

 こうした選手たちの思いを受け止め、一つにまとめ上げるのが、山川監督の仕事となる。

「選手それぞれにストーリーがあるなと感じました。自チームへの強い思いを口にする選手もいれば、学連に選ばれることを目標にしてきた選手もいる。16人を預かっているという責任を感じています。一つのチームとして頑張ります」(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日オンライン限定記事

[AERA最新号はこちら]