2019年4月の衆院沖縄3区補選で当選した屋良朝博氏は、地元紙「沖縄タイムス」の記者を経て、フリージャーナリストに。沖縄の米軍基地問題について、米国をはじめ海外の取材経験も豊富で、議員となってからもたびたび訪米し、国会議員やシンクタンクを回って意見交換を行っている。
沖縄は国政選挙や知事選で基地反対派が当選するなど、再三にわたって「辺野古新基地建設反対」の意思を示してきた。19年も2月の「辺野古埋め立ての是非を問う県民投票」で反対が7割超となった。
屋良氏が語る。
「米国で、沖縄では知事も住民も反対しているのに日本政府は基地建設をやめようとしないと言うと、みんな驚きます。普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校にはシェルターがあるんですよ、と言うと『オーマイガーッ』です。辺野古はすごく美しい海なのですと訴えると、『何でそんなむちゃなことをしているのか』という反応が返ってきます」
だが、政府は普天間基地の危険性除去のためには「辺野古が唯一の解決策」として、反対の声に耳を傾けようとしない。18年12月14日の土砂投入から1年が経過する。
「唯一のはずであるわけがありません。解決策はたくさんあるのに、中身を吟味しないで結論ありきです。メディアも含めて、沖縄の基地問題の解決策についてはほとんど議論ができていません。私は党内で議論を仕掛けていこうと思っています。まず、普天間飛行場とは何かということを知ってもらうことです」
長さ2800メートルの滑走路を持つ普天間飛行場は、(1)オスプレイやヘリコプターなどの運用(2)空中給油機の運用(3)緊急時の外部からの航空機受け入れ――の三つの機能がある。
「(2)は山口県の岩国基地へ移っています。(3)も福岡県の築城航空自衛隊基地と宮崎県の新田原航空基地に移転しています。残っているのは(1)ですが、パイロットの飛行訓練や地上部隊との連携訓練ですから、沖縄でなければならない理由はありません。実際に安倍政権はオスプレイ17機を佐賀空港に配備しようとして、地元に反対されて断念しました。沖縄だけに大きな負担を押しつけておけば丸く収まるというやり方は、日本の安全保障政策が人倫に反しているというほかない」