作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は自民党の女性議員にシングルマザーが多いと指摘する。
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フィンランドで34歳の女性が首相に就任した。「初」のじゃなく、3人目の女性首相で、20代から社会派政治家として活躍してきた。
フィンランドの国土は日本よりも少し小さいほどで、国民1人あたりのGDPは日本よりも豊か……と、数字で見える国の規模をにわかウィキペディアでここに記しているが……すごいよ、フィンランド! 国の規模や質は、数で表せる豊かさではなく、トップの顔で一瞬で伝わるのだ。
12月10日、安倍政権は「反社会的勢力は定義できない」と閣議決定した。先日、毎日新聞で、田中真紀子さんが安倍さんを評していた言葉をそのまま記憶しておきたい。
「はぐらかす、ごまかす、強弁する。たちの悪い人。勉強もしていない。権力の頂点に立つと、その人の特性が出ると言うけど、安倍さんは姑息(こそく)な人だと思います」
私もそう思います。
その姑息な人を長とする自民党の党本部で、先日、ちょっとした革命が起きた。
「反社会的勢力は定義できない」と決めた日と同じ10日、自民党税制調査会で、配偶者と死別・離婚した人に適用されていた寡婦(夫)控除が、非婚のひとり親にも適用されることが決まったのだ。これまでは、結婚せずに子どもを産んだ者を、死別・離婚した者と同じ扱いにはしないという態度を取り続けてきた国が、ようやく変わった。その背景には、10年以上にわたり声をあげ続けた、ひとり親たちの闘いがある。そしてその声に、自民党の女性議員たちが反応したのだ。
この日、自民党本部の税制調査会に、ひとり親の女性たち十数人が集まり、調査会が行われる部屋の前で、参加議員にプラカードを掲げて「差別しないでください」などと呼びかけた。普段、党本部にやってくるのは産業界の男性が中心だ。そこに女性たちが並び、「公平に!」と声をあげる姿に、通りかかる男性議員が、文字通り目をむきギョッとしていたという。