「(日劇ウエスタンカーニバルで)タイガースを見て、私が探していたのはこれだ!ってゾクゾクしました。内田裕也さんが新しいバンドだぜって紹介したのを鮮烈に覚えています」と語る小林麻美さんはファンクラブである渡辺プロ友の会会員番号120番。「『セブンスターショー』っていう番組があって、久世光彦さんが7人のスターを集めた。ニューミュージックからたまたま私が選ばれてジュリーを紹介されたんです。ところがジュリーの楽屋のドアがなかなか開かない。オーラの圧力っていうの? とにかくカリスマだった。緊張と恍惚で膝がガクガク震えました」(ユーミン)
ジュリー、サリー(岸部)、タロー、そしてピー(瞳みのる)が登場すると会場は総立ちに。
『僕のマリー』で瞬く間に観客は10代に戻り、キャーッという大歓声が上がった。『シーサイド・バウンド』では、京都・四条河原町で出会った彼らがコピーしたストーンズを彷彿とさせた。
甘く艶のある、ジュリーのボーカルはまっすぐ伸びやかに会場を覆い、サリーのベースラインはメロディアスで美しく、MCははんなりとした京都弁だった。
ナイーブな青春の輝きのステージに触れながら、彼らとファンは大きな時代を生きてきたのだなと思った。演奏も衣装も楽曲も、ザ・タイガースの存在は究極まで完成されたクリエイティブだったのだ。
ラストは森本太郎作詞作曲の『青い鳥』。自身のバンド結成20年を迎えたタローへのオマージュだった。
半世紀以上変わらぬ友情に、会場から温かな拍手が送られた。
※週刊朝日 2019年12月20日号