神戸市中央区の指定暴力団六代目山口組直系「弘道会」神戸事務所前で今年8月、弘道会系組員が銃撃を受けて重傷を負った事件で、兵庫県警は12月3日夜、殺人未遂と銃刀法違反の疑いで、対立組織の神戸山口組直系「山健組」組長、中田浩司容疑者(60)を逮捕した。県警は中田容疑者が銃撃の実行犯とみている。
銃撃された現場事務所は六代目山口組ナンバー2、高山清司若頭の神戸市の自宅でもあった。
本誌オンライン限定記事で8月24日に詳細を報じたこの銃撃事件。組員が車をUターンさせて、バックで駐車場に止めようとしたところ、バイクに乗ったまま、ヘルメットをかぶった男がいきなり発砲した衝撃のシーンが防犯カメラに映っていた。本誌はその瞬間をとらえた写真も公開したが、捜査関係者が捜査の内幕をこう話す。
「犯行状況から組員の行動パターンを把握して計画的な犯行であることがうかがえた。犯行に使用したバイク2台は事件直後に押収。周辺の防犯カメラを丹念に追っていき、撃った男が山健組の事務所に入るところを特定した。その男が中田組長だと確認できたので実行犯として逮捕した」
地元・神戸を拠点にし、山健組にあらずんば山口組にあらず。そう言われるほど、山口組で最大の勢力を誇ってきた山健組。 五代目山口組、渡辺芳則組長も山健組の出身だった。
そのトップ自らがバイクに乗って実行犯として銃撃に及んだことに衝撃が拡がった。山健組関係者がこう話す。
「中田組長が逮捕されたと聞いて、軽い微罪か、形式的なものと思っていた。それが8月の銃撃事件のヒットマンだと聞き、絶句です。ヤクザ相手に銃撃するのは、若い組員がやる仕事ですわ。親分は影でそれを支える。それが名門、山健組の親分自らがバイクに乗りヒットマンとして、銃撃するなんて前代未聞ですね」
2005年、五代目山口組、渡辺組長が引退し、名古屋に本拠地を置く弘道会の司忍組長が六代目山口組の組長となると形勢が一変。山健組は「窓際」に追いやられた。