それを逆転しようと、2015年8月、山口組を割って、井上邦雄組長をトップに、神戸山口組を結成。当初は3000人近い組員がいたが、六代目山口組の切り崩しにあって、昨年末では2000人ほどに減っていた。

「高山若頭の出所を10月に控え、切り崩し攻勢がさらに拍車がかかるはず、と反撃しなければと当時、山健組は必死になっていた。

 だが、山健組にはヒットマンとなる若い衆がおらず、中田組長自らが走ったのだろう。中田組長の身柄を確保した場所は大阪市淀川区です。神崎川近くをひとりで歩いていた。抗争の中、子分も連れずに歩いていたのを見ても、組織が弱体化しているのが、よくわかる」(前出の捜査関係者)

 11月27日、ヒットマンとされる朝比奈久徳容疑者が神戸山口組の幹部、古川恵一組長を自動小銃で射殺する事件があったばかり。激化する抗争を背景に警察当局は暴力団対策法に基づき、六代目山口組と神戸山口組に対して、さらに規制を強化する「特定抗争指定暴力団」へ近く指定するとみられる。元山口組の顧問弁護士、山之内幸夫氏はこう話す。

「特定抗争指定暴力団となれば、組員5人以上で集まったり、組事務所の使用禁止などさらに規制強化され動けなくなります。中田組長はとても責任感が強い親分ですが、自分でバイクに乗って撃ちに行ったと聞き、びっくりした。六代目山口組の攻勢でそこまで追い込まれていたのでしょうかね。これ以上、犠牲を出さないように、両者で話し合いをして、抗争を終結できないかと思うのですが…」

 一般市民が巻き添えになる前に神戸抗争が収束することを祈るばかりだ。(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事