振り込みや両替などの手数料の値上げも相次ぐ。

 みずほ銀行は、来年3月からATMでの振込手数料を値上げすると10月に発表した。キャッシュカードを使って同じ店舗の口座に振り込む場合、これまでは無料だったが220円かかる。3万円未満を別の店舗の口座に振り込む場合、110円から220円に、他行あては220円から330円に上がる。インターネットバンキングの手数料は据え置く。

 電話で担当者が顧客に対応するテレホンバンキングのサービスも、来年4月から順次廃止する。

 ATMの維持や電話担当者の確保にはコストがかかるため、ネットサービスのほうに誘導する狙いだ。

 三菱UFJ銀行や三井住友銀行でも、両替や海外送金などにかかる手数料が値上げされている。

 地方銀行でも値上げの動きは広がる。

 京都銀行は10月から手数料を一部値上げした。ATMにおいて現金で3万円未満を別の店舗の口座に振り込む場合、108円から220円になった。

 ネットサービスは逆に値下げしている。3万円未満を別の店舗の口座に振り込む場合、108円から無料になった。窓口やATMでの取引を減らし、ネットに誘導するのは、金融業界全体のトレンドだ。

 ネットを使いにくい高齢者にとっては、こうした動きは痛手。あるメガバンク銀行幹部もこう認める。

「窓口やATMの取引には人手や維持費がかかる。ネットサービスは人手がかからず、振り込みが手軽にできるなど顧客にとっても便利。これまでは高齢者らの反発が予想され、手数料の見直しには慎重でしたが、銀行も余裕がなくなっている。コストの一部を負担してもらうしかないのです」

 金融機関の余裕がない背景には、政府が主導する異例の政策がある。「アベノミクス」の一環として日本銀行は、2016年からマイナス金利政策を実施している。超低金利になり、預金してももらえる金利はほぼゼロ。企業などへの貸出金利も大幅に下がり、銀行は利ざやで稼げなくなっている。

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