2009年に、ドラマ「相棒」シリーズで人気キャラクターとなった鑑識・米沢守役で映画主演デビューを果たした六角さんが、10年ぶりに主演を務めた映画が、現在公開中だ。「くらやみ祭の小川さん」は、東京都府中市に住む小川さんが、会社を早期退職することになり、意気揚々と第二の人生を送ろうとするが、再就職の壁にぶつかり、挫折。ひょんなことから手伝うことになった地元の大國魂神社の「くらやみ祭」を通して、「人生まだまだ捨てたもんじゃない!」と気づく、シニア層向けエンターテインメント作品である。

「自分は、主役を張るような役者じゃない。だから、お話をいただいた時、主演が務まるのか、自分にいったい何ができるのか、わからなかった。ただ、小川さんって、みんなに助けられる役なんですよ。だから、映画の中でも助けられながらやればいいんじゃないかな、と。気負わずにできたことが、いい方向に向かった作品になったと思います」

 映画の中では、出戻りの娘の恋愛や、役者志望の息子の将来、母親の認知症など、どこの家族にも起こりうるような問題が山積している。六角さん演じる“小川さん”も、長年会社勤めをしたプライドが邪魔をして、最初は目の前にあることを素直に受け止められずにいた。でも、六角さんは自身の経験を通して、「否定すべき人生などどこにもない」ことを学んだという。

「よく、『自分はダメな人間だ』と自己否定してしまう人がいますけど、そんなことしなくていいのにな、と本当に思います。罪を犯してしまった人は別としても、僕のように自堕落な人生を送ってきた人間と照らし合わせたら、大概の人はOKですよ(笑)。僕は、何か失敗やミスをした人を否定したり攻撃したりする今の風潮が好きじゃない。じゃあみんな失敗しないのか。みんな無駄な時間を送ってないのか聞きたくなる。パソコンとかで簡単に欲しいものが手に入る時代は、人間の正義も欲望も、何もかもが薄っぺらな気がしてしゃーないですな(苦笑)」

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