ラヴ・イズ・ジ・アンサー/バーブラ・ストライサンド
ラヴ・イズ・ジ・アンサー/バーブラ・ストライサンド
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すべてのヴォーカル・ファンが、幸せな気分になれる!?
Love Is The Answer / Barbra Streisand

 アメリカ・ポピュラー音楽界を代表する女性ヴォーカリストであり、ショー・ビジネス界のトップを極めた女優、それがバーブラ・ストライサンドだ。レコード・デビューが1962年だから、実に長いキャリアを誇っているわけである。数々のヒット作を飛ばしてきたバーブラにとって、これはおそらく初めての試みとなるコンセプト・アルバムだ。

 話は数年前にさかのぼる。バーブラがモンタレー・ジャズ・フェスティヴァルでのダイアナ・クラールのステージを鑑賞し、その後2人はパーティーで談笑。バーブラの次のツアーで取り上げる楽曲について、話が弾んだという。2006年にはダイアナがバーブラのMSG公演を訪れて、再び同じ話題に話を咲かせた。信頼関係を築いたバーブラはアルバム制作をダイアナに依頼する。ダイアナにとっての(おそらく)初めての、他のアーティストのためのプロデューサー仕事、しかも相手は大先輩の超大物歌手だ。この大事業にあたってダイアナが選んだ秘策は、自身のレコーディング・チームをスライド登板させることだった。さらに歌伴奏に定評のあるジャズ・ピアニストを追加起用。万全の布陣で臨んだバラード・スタンダード集が、ここに仕上がったのだ。

 ウィズ・ストリングスでの同じようなコンセプト作は、過去に数え切れないほど世に生まれている。しかしダイアナ・クラールが自らの経験を踏まえて、そのノウハウを注ぎ込んだ本作は、バーブラの風格にふさわしい仕上がりとなった。《追憶》《スター誕生 愛のテーマ》等のヒット曲でお馴染みのあの声が、ジャズ・ヴォーカル好きなら誰もが知る名曲の数々を、どれも丁寧に歌い込む。ダイアナが、アラン・ブロードベントが、タミール・ヘンデルマン(ナタリー・コール、ロバータ・ガンバリーニ)が、ビル・チャーラップが助演。さらにジョニー・マンデル編曲・指揮のオーケストラが、バーブラの歌唱を引き立たせる。実に贅沢なプロダクションだ。すべてのヴォーカル・ファン必聴。幸せな気分になれること、間違いない。

【収録曲一覧】
1. Here’s To Life
2. In The Wee Small Hours Of The Morning
3. Gentle Rain
4. If You Go Away
5. Spring Can Really Hang You Up The Most
6. Make Someone Happy
7. Where Do You Start?
8. A Time For Love
9. Here’s That Rainy Day
10. Love Dance
11. Smoke Gets In Your Eyes
12. Some Other Time
13. You Must Believe In Spring

バーブラ・ストライサンド:Barbra Streisand(vo) (allmusic.comへリンクします)
ダイアナ・クラール:Diana Krall(p)
タミール・ヘンデルマン:Tamir Hendelman(p)
アラン・ブロードベント:Alan Broadbent(p)
ビル・チャーラップ:Bill Cahrlap(p)
アンソニー・ウィルソン:Anthony Wilson(g)
ジョン・クレイトン:John Clayton(b)
ジェフ・ハミルトン:Jeff Hamilton(ds)

2009年作品