北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
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イラスト/田房永子
イラスト/田房永子

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は韓国のセックスグッズ産業について。

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 先日、韓国でアダルトグッズショップ巡りをした。韓国は長年、アダルトグッズの輸入・生産を厳しく制限していたため、「大人のオモチャ店」は公には存在していなかった。それが2年前に法律が変わり、次々にショップがオープンしている。それもアップルストアの並びにオープンするなど、一等地に堂々と、だ。雰囲気も日本のそれとはまるで違う。日本の場合、男性が一人で楽しむ商品、それも二次元アニメのロリコングッズが売れ筋なのに対し、韓国は基本的にカップルで楽しむためのバイブレーターが中心で、女性の経営者もいれば、レズビアンフレンドリーな路面店もある。

 嬉しかったのは、女性が経営しているPleasure Labというお店で、レジにいた女性に「私はラブピースクラブという店をやっています」と話しかけたら、その場で経営者に電話してくれたこと。経営者の女性が電話口で「ラブピースクラブは憧れです。私はあなたのお店からたくさん学びましたよ」と言ってくれたのだ。

 とはいえ、社会や政治が違えば、ここまで差がつくのかと愕然(がくぜん)とする。Pleasure Labは人気のカフェが集まる街の一角にあり、50平米ほどのゆったりとしたスペースに、色とりどりのバイブが、美しい雑貨のように展示されている。「セクハラはすぐに警察に通報する」という注意書きがドアに貼られているのを見れば、男性の嫌がらせがないわけではないことも伝わるが、それでも陽が明るく射し込む店内で、様々な世代の女性たちが安心して買い物できる場であることは確かだ。オシャレな街の真ん中で! コスメを買った帰りに、女が普通にバイブを買える! 羨(うらや)ましすぎる!

「今は私が韓国社会や、あなたの店から学ぶ番ですね」と私は伝え、彼女と連絡先を交換した。

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