オーストラリアに敗れ、5位となったU18ワールドカップ。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、「WBCのようなトップチームと同じ視点で議論することはできない」と指摘する。
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韓国で行われたU18ワールドカップは残念ながらスーパーラウンドで敗退した。注目された佐々木朗希投手(大船渡)は韓国戦で、大会前にできたマメを再発させ、1イニングの登板に終わった。奥川恭伸投手(星稜)もカナダ戦で18三振を奪う好投をしたとはいえ、1試合のみの登板。甲子園の疲労を抜くのに時間がかかった。
佐々木については、マメが破けていたとも聞く。8月26日の大学日本代表との壮行試合からわずか10日でマウンドに立つことは本来難しかったはずだ。周りの投手が奮投する姿を見て、投げたいという思いが強くなった。チームメートから力をもらって、1分、1秒を大切にした。その思いを共有したことは、かけがえのない財産となったはずだ。
どれだけ才能にあふれていても、甲子園出場もない選手が、日の丸をつけ、国際大会で柱の役割を担うこと自体、相当な重圧だったはずだ。マメができたこと、そしてどう対処すべきか、学んだ。日本の球場構造とは異なる球場で雰囲気も違う異国のマウンドに立ったことはプラスになる。
同じことは奥川にも言える。疲労が来た時に自分の体のどこに影響が出るのか。どの部分が使えなくなるのかが、改めて確認できただろう。本人は登板時にスライダーが本来のものでなかったと感じたようだが、体の反応を敏感に感じることができたはずだ。
結果が出なければ批判にさらされる。そんな経験も代表チームならでは、だ。今回の代表チームは内野手7人のうち、6人が自チームでは遊撃を務めたと聞く。結果的に失策などに表れてしまったことで、選手選考を疑問視する声も出よう。ただ、選べる選手は20人しかいない。今回は球数制限も導入された大会。投手の数を増やそうとすれば、おのずと野手の人数は減り、オールラウンドの選手を入れることにもなる。