この検証のみならず、国防権限法の上院案のこの条項は、実に微に入り細に入り様々なことを求めている。たとえば、米軍配備計画の再検証が終了した後には、国防長官は、現在の米軍の配備計画をそのまま遂行するのか、あるいは、配備計画の変更を試みるのか、いずれかを議会に通知しなければならないと規定している。また、国防長官は再検証後に報告書を作成しなければならないが、その報告書には、米軍配備計画変更の提言を記載し、米軍の配備先をどこに変更するかといったことも含むようにと求めている。

■どう展開するかはこれからである

 もっとも、まだこの条文は法律になっていない。上院を通過しただけである。アメリカは、上院と下院に分かれており、内閣に法案提出権がないために、上下院それぞれが別々の法案を作成・審議し可決する。異なった法案を可決した場合は、その後両院協議会で審議し、一つの法律として成立させる。今月、両院協議会が開催され、すり合わせが行われていく。今後、下院がこの条文を支持するかどうかが注目される。

 22の議員事務所との面談を行った屋良議員は、毎回、沖縄の立場について説明し、辺野古の基地建設は県民の強い反対や海底の軟弱地盤の存在、コスト面などから著しく困難であることを訴えた。また、約2000人の実戦部隊が駐留する予定であるに過ぎないこの基地が、対中・対北朝鮮戦略においてさして重要でないことも説明。そして、この条項が最終的な法律に含まれることを強く望んでいると伝え、各議員事務所の協力を要請した。
多くの議員事務所が、人権の視点、環境の視点、軍を呼び寄せたいとの視点、安定的な軍の運営の視点等、実に様々な視点から、この条文への支持を表明してくれた。既に上院で条文が通っているために、普段より議論はさらに弾み、沖縄の問題の指摘にも多くの担当者が真摯に耳を貸してくれた。

 前述したとおり、上院においてこの条項は軍隊に親和性のある議員が強く支持をしている。彼らは下院がどう出るか、注意深く見守っている。

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米議会の行方は?