冒頭に書いた上院議員事務所との面談の終わりには、補佐官らから、私たちが下院の多くの事務所を回ってこの条文への支持を訴えていることに感謝の意が述べられた。そして、最後に防衛担当補佐官はこのように述べた。

「中国や北朝鮮にはしっかりと対応しなければならない。ただ、だからといって、今の米軍配備計画でなければならない理由はない」

 もちろん、この条項が法律になり、米軍再編による米軍配備の再検証がなされたからといって、辺野古基地建設について現行案が再度支持される可能性もある。

 しかし、辺野古基地建設は米軍再編の一部であって、米軍再編が見直されない限り、基地建設の中止はあり得ないというのもまた事実である。
どのような方法によっても辺野古の基地建設をとめることが容易でないことは百も承知している。しかし日本国内でも厳しい状況が続く中、辺野古基地建設に反対をする人々は、一度、米国の議会と協力しながら、米軍再編の見直しを求めてみてはどうだろうか。日本政府は逆の働きかけを展開するだろう。基地建設に反対をする多くの人々が、本条項が最終的な国防権限法に残るよう働きかけてくだされば幸いである。

(日本・米NY州弁護士 猿田佐世)

※週刊朝日オンライン限定記事

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猿田佐世

猿田佐世

猿田佐世(さるた・さよ)/シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表・弁護士(日本・ニューヨーク州)。各外交・政治問題について、ワシントンにおいて米議会等にロビイングを行う他、国会議員や地方公共団体等の訪米行動を実施。研究テーマは日米外交の制度論。著書に「新しい日米外交を切り拓く(集英社)」「自発的対米従属(角川新書)」など

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