東京にはいくつもの大病院があるが、「聖路加国際病院」(東京都中央区)という名前を知っている人は多いだろう。地下鉄サリン事件で被害者の治療に当たったことで有名だ。終末期医療の推進などに尽力し2017年に亡くなった日野原重明さんも院長を務めていた。勤務する医師は400人を超える総合病院で、患者からも人気が高い。
【画像】聖路加国際病院の院長らから不当な退職勧奨を受けたとして会見した横山泰廣医師
その名門病院で循環器内科の医長である横山泰廣医師(54)が、福井次矢院長らから不当な退職勧奨を受けたと主張している。病院側や院長、小宮山伸之副院長を相手取って、慰謝料など550万円を求める訴訟を7月に東京地裁に起こした。
横山医師は病院に5年半勤務し、心臓・不整脈診療で実績を残してきた“名医”だ。本誌の取材に次のように語る。
「今の聖路加は体質がおかしい。私は院長から不当な退職勧奨を受けた。何も不服を言わず、このままおとなしく職場を去ることも考えました。けれども、聖路加には私が引っ張ってきた医療スタッフも働いています。このままではまた、私と同じことが病院で起きてしまうと思って声を上げたんです」
横山医師によると、今年4月、福井院長から院長室に呼び出された。そこには院長と人事部の職員2人の計3人がいたという。
「福井院長から、私がスタッフに罵倒したり恫喝(どうかつ)したりしたとして、退職勧奨を受けたんです。私がしたとされる具体的なパワハラの内容は、それまでほとんど知らされていませんでした」
横山医師が院長から呼び出しを受けたのは3度目だった。横山医師によると、福井院長はこう言ったという。
「先生もね、こんなに何回も言われて、決してハッピーな状態で仕事できるわけじゃないと思うんですよ。ですから、一番丸く収めるのは、先生ご自身が働きやすいところを見つけてもらうというのが一番だと思うんですよね」
そして、1カ月以内に退職する意思表示をするよう、次のように迫ったという。
「ここ以外のところを見つけるという意思表示があったら、人権委員会へのアクションは取りません。でも、その気がないということであれば、そのようにいたします。もし、(パワハラが)あったという判断がされれば、それなりの、病院としては懲罰委員会というのを通るということになりますので。私がこういう話をした人は10人近くいるんですけど、皆さん、6カ月以内には(次の職場を)見つけてくれています。周りに一緒に働いている人のことを考えれば、申し訳ないですけれども、先生、早い方がありがたいです」