音楽や映画、ドラマにコントなど、多方面で活躍している星野源さん。最新の主演映画は時代劇だ。上役からの理不尽な要求に耐えて大きな仕事をやり遂げる、内気な侍を演じた。魅力的な顔をいくつも見せる星野さんに、映画の見どころやプライベートの楽しみについて聞いた。
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──映画「引っ越し大名!」の主人公・春之介は、内気で外に出たがらない現代の若者のような侍。共感できましたか。
春之介は本おたく。本が好きで、好きなものに囲まれて生きていきたい。自分がやりたくない役目に就くか、切腹かを迫られて、やりたくないことを選ぶ。そのおたくっぽさ、好きなものに囲まれていたいという気持ちはよくわかります。
この映画の好きなところは、春之介が結局は自分が好きな本から得た知識を生かして、才能を開花させるということ。いったん捨てたと思ったものをちゃんと取り戻して、好きなものに救われていく。自分は音楽や芝居、書くことが好きで始めて、ありがたいことに仕事になった。そこは似ているなと思いました。
──多方面で活躍していますが、仕事に取り組む姿勢は同じですか。
書く仕事や対談はどちらかというと体一本で、という感じ。音楽は自分がリーダーで矢面に立って、やりたいことのために人を集める。俳優はチームの一人だから、歯車のひとつになる。それぞれの楽しさがあります。現場に行く度にリセットする感じです。
──共演した方とのエピソードを教えてください。親友役の高橋一生さんとは初共演ですか。
ずっと昔にお芝居をしたんですが、僕がこの仕事を始めたばかりだったので、本格的な共演は初めてでした。いっちゃん(高橋さん)は、とにかくストイック。根っからの俳優なんだなと思います。役へのアプローチをしっかり考えている。今回は監督が「こういうふうにしたい」と演出をかっちり固める人だったので、その要望にきちんと応えていた。すごく素敵だと思いました。