林:エッセーにするのもったいないネタだなと思いながら読んでました。

ヒロシ:ネタ自体は「ヒロシです」「何々です」とか2、3秒で終わるんです。でも、これを長々と説明すると1分ぐらいのネタになるんですね。僕のはいかに無駄を省いて状況を見せるかというネタなんで、もったいないんですよね。

林:もったいないです。非常にぜいたくな、凝縮したネタですよね。

ヒロシ:自分ではそう思ってますけど、短くした分、簡単だと思われるところもあって、自分で自分の首を絞めた部分がありますね。

林:映画にお出になったことありますよね。どうでした、演技するって。

ヒロシ:嫌いではないですね。どっちかといったら好きです。能力は別にして、たぶん性格的には芸人よりも役者なんじゃないですか。

林:映画のオファーが来たらやっちゃいます? 「悪人」という映画で、人づきあいが不器用な地方の青年が……。

ヒロシ:!!(さえぎって)俺、あの映画を見て衝撃が走っちゃって。あれは主役が妻夫木聡さんなんですが、「これ俺じゃん」って。女の人からいいように扱われて、自分を見てるようで。

林:私も今それを思ったんですよ。ヒロシさん、芸人はちょっと向いてない部分があるかもしれないけど、いろんな可能性が出てきたんじゃないですか。営業用につくり上げたものじゃなくて、自分で悩んで苦労してつくり上げた得難い個性だから。

ヒロシ:ほっとかれてます、ポツンと。

林:しかしテレビに出ていたとき、きれいなタレントさんとうまくいきかけたことってないですか。

ヒロシ:ありましたね。でも、そのためにやってきたのに、いざその場になると勇気なかったですね。ただ、最近は僕もずいぶん変わってきて、どうでもよくなったんですよ。それよりキャンプ行ってたほうが楽しいですもん。

林:それはちょっとまずいわ。まだ40代じゃないですか。恋人とかいたこともあるんでしょう?

ヒロシ:女の人と同棲したこともあります。だけど、うまくいかないんですよ。たとえば洗面台にしても、「ここは君のスペース。こっちは俺のスペース」とやっても、女の人っていっぱい持ってるから、俺のスペースにも置くわけですよ。そういうのもイヤだし。

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