放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「天才すぎるジャニー喜多川さんの命名力」。
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テレビ番組って結局タイトルがかなり肝だと思っている。中身で80点までは取れても、90点以上を取るには、そのタイトルの良さが重要だと思っている。
ジャニー喜多川さんがつけるグループの名前について考えてみた。まずは、聞いたことはある言葉同士をくっつけるパターンじゃないでしょうか。「近畿」と「キッズ」で「KinKi Kids」とか。「平成」と「ジャンプ」で「Hey!Say!JUMP」とか。80年代だと「渋柿」という日本語に「隊」をつけて「シブがき隊」としてしまうこの素晴らしさ。なぜ「渋柿」をチョイスしたのか?
次に、知ってる日本語をイノベーションするパターン。このMAXが「光GENJI」だろう。歴史の授業で誰もが習って覚える言葉「光源氏」。これを「光GENJI」としてグループ名にして、なおかつ、グループ内で「光」と「GENJI」に分かれたりもする。
そして、僕が一番尊敬してしまうのが、なかった言葉を作り出してしまうパターンです。一番は「SMAP」でしょう。世の中に存在しなかった言葉だったのに、結果、日本人なら誰もが知っている「言葉」にしてしまったわけです。このパターンの最初(僕が知る限り)は、「たのきんトリオ」でしょう。田原俊彦の「た」と野村義男の「の」と、近藤真彦の「近」を「きん」と読ませて、「たのきんトリオ」ですよ。よーく考えてください。みなさん、まだ素人のこの名前を持った男性が3人、目の前にいて、「グループ名を考えてください」ってなったら、こんな名前つけられます? 絶対、世の中にありそうなものをつけますよね。なのに、名前から取る。しかも「た」と「の」はわかるけど、「こ」ではなく、「きん」にするってところがとんでもない。
そうやって見ていくと「嵐」ってパターンが違うんですよね。そのままなのが、逆に珍しい。「V6」「KinKi Kids」ときて、「嵐」ですからね。そのときの流れを読んでいたのでしょう。これがすごい。