3位は前出のソフトバンクのフィッシャー副会長で、総額のほとんどが役員報酬だ。同社の経営陣は上位50人に7人が入る。孫氏は6月に都内であった株主総会でこう説明した。
「欧米ではもっと高額の報酬も、ときによっては支払われます。どのくらい会社の価値増大に貢献したかも重要な物差しで、世界中の有能な経営者は取り合い状態。バランスも大切だが、ソフトバンクの株主価値を増やすのにその金額が必要か、必要でないか、その一点が決め所ではないかと思っています」
昨年、知名度が急上昇した経営者といえば、衣料通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZOの前澤友作社長。女優の剛力彩芽とつきあっていることや、ツイッター上で「お年玉」を配る企画などで注目された。ランキングでは約28億円で5位。ZOZOの前身となる企業を1998年に立ち上げてから短期間で、国内最大級のネット衣料通販会社に育てた。
ほかにはソフトバンクと提携したトヨタ自動車の豊田章男社長が15位。孫社長と同じくプロ野球の球団オーナーとしては、ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長が28位、楽天の三木谷浩史社長兼会長が33位だった。
外国人経営者では製薬大手の武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長が11位。武田では36位にもアンドリュー・プランプ取締役が入った。
ほかの企業でも、日本人経営者よりもうけている外国人がたくさんいる。中には日本人の社長より報酬が高い役員も少なくない。つばめ投資顧問の栫井駿介代表はこう解説する。
「世界中から経営者を招こうとすると、それだけの報酬を払わなければ来てくれません。外国人が上位に並ぶのは、優秀な経営者が日本に少ないことを示しています。一方で、高額報酬は海外でも問題になっています。1株当たりの配当額は創業者でもそれ以外の株主でも同じなので、配当収入が高いのはまだいいですが、『プロ経営者』への高額報酬はいかがなものかと思います」