ゲスト参加したカリブ系のローラ・マヴーラが作詞、ヴォーカルで加わった「ブルー・スカイズ」は、9分を超える本作でのハイライト曲。スローなジャズ・テイストによる演奏をバックに、ローラがしっとりとした歌を聴かせる。途中からワイルドなブルース・ロック調へと変化。カルロスのエネルギッシュなギター・ワークに息をのむ。
R&B/ソウル・テイストの「パライソス・ケマードス」での伸びやかなギターもファンを喜ばせるに違いない。陽気なカリプソ調の「ブレイキング・ダウン・ザ・ドア」は、ライヴで盛り上がりそうだ。
カルロスのハード・ロック・ギターに、妻でドラマーのシンディ・ブラックマンのソロなどを織り込んだ「カンドンベ・クンベレ」はラテン・ロックとアフリカ音楽を融合させ、本作の意図を感じさせる。
この新譜でブイカとの共作による新しいオリジナルを手掛け、サンタナ本来のラテン・ロックやジャズ、フュージョン的要素を加味したスタイルを生み出した。
ベスト・セラーとなり、グラミー賞9部門で最優秀賞を得た『スーパーナチュラル』から20年。サンタナが、今なおエネルギー全開であることに興奮を覚えずにはいられない。(音楽評論家・小倉エージ)