同日選のメリットは意外と大きいかもしれない。
参院単独選挙なら、安倍政権への中間評価的なものとなり、争点となった年金問題や消費増税に対して有権者が不満の声を上げ、自民敗北の可能性が高まる。
一方、衆参同日選なら、個別の問題よりも「政権選択」が争点となり、安倍総理は、こう訴えることができる。
「今回は、政権選択の選挙です。立憲も国民も同じ民主の残党。引き続き私どもにお任せいただき日本経済を立て直すのか、それとも、日本経済を滅茶苦茶にした、あの悪夢のような民主党政治に戻るのか。答えは明らかではありませんか!」
問いかけられた有権者は、次の総理として、安倍氏と枝野幸男立憲民主党代表の顔を想起する。争点を転換するには一番効果的だ。問題は、安倍総理にその勇気があるのかどうか。
「常勝安倍」が再び大勝負に出るのか、それとも、参院選小幅敗北でレームダック化しても総理の座死守という道を選ぶのか。
言葉を換えれば、「枝野手ごわし」と怖気づくのか、「相手が枝野なら楽勝」という気概があるのか。ここで逃げたという結果になれば、ついに安倍政権の終わりが始まったということかもしれない。
※週刊朝日 2019年6月28日号