川崎市の通り魔事件の現場(撮影/田中将介)
川崎市の通り魔事件の現場(撮影/田中将介)
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川崎市の通り魔事件の現場(撮影/田中将介)
川崎市の通り魔事件の現場(撮影/田中将介)

 通勤通学で使うバス停付近に突然、通り魔が現れ、血を流した多くの人が倒れ、「阿鼻叫喚」の現場となった。川崎市多摩区のJR登戸駅近くで児童らが次々と刺され、小学6年の女児と39歳の男性が死亡。

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 刺した男も自ら首を刺し、搬送先の病院で死亡が確認された。事件直後に現場にいた目撃者らの話を現場からリポートする。

 現場近くに住む無職の斉藤隆司さん(67歳)は、「台所から覆面パトカーがビュッと通るのが見えて現場に行くと、胸から背中にかけて血を流して仰向けに倒れている男性が見えた。サラリーマン風で30歳ぐらい。顔が自分の方を向いていて、目が合って、次に進めなかった。呼吸している感じはなかった」と話す。また倒れて救命措置を受けている女性がいて、救急隊員が「もうすぐ着くからがんばって」と声かけていたという。

 そのうち、コンビニからスカートに血がべったりと付いた女の子が出てきた。小学5、6年生ぐらいで、見た感じは冷静。泣いてはいなかった。

 現場近くに住むアルバイトの松本拓也さん25歳は、女の子の悲鳴が聞こえて外に出た。コンビニのわきの路上には、白いYシャツを着た20~30代の男性が血を流して倒れており、コンビニの反対側には、首をおさえながら血を流してうずくまっている女の子が一人いた。その近くで4、5人の女の子が集まって泣きながら立ち尽くし、近くの病院の人たちが応急処置をしていた。

 松本さんは、「バス停のバスが停まる路上に男が倒れていた。首を切られた感じだった。丸刈りの後頭部が見えて、上は黒のTシャツ、下は黒の長ズボン。体格が良くて色黒。警察官が囲むように立っていて、ほかの倒れた人らと対応が違ったので犯人かと思った」。

 現場近くの男性(60代)は、「駐車場の路面に血が広がっていた。つい目を背けてしまった。まっすぐ見れるものじゃなかった」。60代女性は、「どうしたらいいのかわからない、という表情で刺されていない小学生たちが青い顔をして座っていた。私もパニックになって周りを見る余裕がなかった」。

 捜査関係者によると、身柄を確保されたのは51歳の男。事件前に現場近くの公園にいたホームレスの男性が「ぶっ殺してやる」という男の叫び声を聞いていた。現場からは包丁2本が見つかっているという。
(本誌・緒方麦、田中将介、羽富宏文)

※週刊朝日オンライン限定記事