「ベッドタウンでは住民の多くがすでに高齢化しています。住民の流入が一時期に集中するだけに、流出するスピードも速い。地価が10年間で10分の1まで値下がりしたところも。今後は場所によっては、お金を支払わなければ引き取ってもらえないマイナス価値の家も増えるでしょう」
買い手がつかないまま空き家が増え、「ゴーストタウン」になるところがいくつも出現しそうなのだ。
民間研究機関「日本創成会議」は14年、都市への人口流入が続けば、40年までに全体の約半数にあたる896の自治体が「消滅可能性都市」になると予測した。都心から1時間程度しか離れていない郊外に、空き家だらけで消滅直前の過疎地が出現する日は遠くないのかもしれない。
政府は経済を活性化する手段として、事実上の移民受け入れを決めた。新たな在留資格を盛り込む改正入管法が、4月から施行された。今後5年間で30万人以上の外国人労働者を受け入れる。
日本総研は、30年には外国人労働者が最大390万人に達し、労働者に占める割合も5~6%に達すると予想する。受け入れ体制の整備はこれからで、職場や地域社会であつれきが生じる恐れがある。
ここまで見てきたように、令和リスクは経済から地域社会、家庭に至るまで幅広く存在する。いまから対策をとらなければ、悲劇は避けられない。(本誌・吉崎洋夫、池田正史)
※週刊朝日 2019年5月24日号より抜粋

