そして、オランダやフランスでも極右政党が勢力を拡大した。いずれも移民、難民の受け入れを拒絶しているのである。
オーストリア、スウェーデンなど、欧州各国で反民主的な右派が勢力を拡大し、自国第一主義が強い潮流となっている。EU体制の維持を唱えるフランスのマクロン大統領は大苦戦で、ドイツのメルケル氏は党首を辞任せざるを得なくなった。
去年、世界各国で大統領や首相になったリーダーたちは、いずれも露骨な自国第一主義で、反民主主義を打ち出している。
令和の時代が始まった今、世界は平成の始まりとは真逆の、希望が見いだせない殺伐とした状況である。
そうした中、世界の先進国で政治面でも経済面でも最も安定しているのが日本なのである。
安倍内閣にいろいろ問題はあるが、どの新聞の調査でも支持率は50%前後で、国民の約7割が現状に満足していると答えている。
移民、難民の影響が少なく、実は貧富の格差が先進国の中で最も小さいのである。米国や欧州の大企業経営者たちは役員報酬が数十億円だが、トヨタの豊田章男社長の役員報酬は3億円だ。そして、日本は自国第一主義ではやっていけず、世界協調、民主主義、平和主義を掲げている。今こそ国際的な枠組みでの自由貿易、そして国際的民主主義の具体的な戦略を世界に示すべきである。
※週刊朝日 2019年5月17日号