ドラマで人気に火が付き、すぐに歌手デビューも果たした深キョン。私は彼女の歌が好きでした。当時「華原朋美(ともちゃん)に憧れてオーディションを受けた」としきりに語っていたので、「歌がバリバリ小室系だったらどうしよう」と心配していたのですが杞憂に終わりました。深キョンは歌っても深キョンのままだった。デビュー曲『最後の果実』は、瞬きひとつせずに画面を観ながらマイクを握りしめるカラオケボックス世代感満載の名曲です。そこに感情など皆無。それが20年経って♪タラバガニィ~♪なのですから。重ね重ね化け物。
私は深キョンについて「子供の頃水泳をやっていたので肩幅が結構広い」のと「足のサイズが26.5センチ」なことぐらいしか確たる知識を持っていません。しかし本当に可愛い人は、他がすべて曖昧で漠然としていても充分世間を黙らせる力があるということを、私は深キョンを通して学んだ気がします。実態や本質など、目の前の真実が圧倒的であればオールOKなのです。そしてふと見渡せば、とてつもない高みに着地していた深キョン。なぜってただただ可愛いから。かつてメナードのCMで松坂慶子さんと共演した時(平成20年頃)には、「まさかこのまま『愛の水中花』路線に?」と一瞬色めき立ったりもしましたが、そこからさらに高度をグーンと上げ、まさかの平成終わり間際の♪タラバガニィ~♪です。そして止(とど)めの一発は、デューダ子の「ぶつかってー。こいッ!」。文句なしの完全優勝です。さあ、いよいよ令和10年ぐらいには『愛の水中花』が拝めるかも。みんな長生きしましょうね。
※週刊朝日 2019年4月19日号
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