




デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン(DCPRG)再始動ライヴ!
Alter War In Tokyo / Date Course Pentagon Royal Garden
先日、菊地成孔にインタヴューをした。こちらの質問に対して何十倍も冗舌に語ってくれて、原稿に反映できない裏話もたくさん飛び出した。デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン(DCPRG)の誕生から活動休止、昨年の再始動の舞台裏、そして現在の状況と今後の予定もヒアリング。その2週間後の9月2日、DCPRGは《東京JAZZ 2011》初日のトップ・バッターとして、東京国際フォーラム ホールAの大舞台を務めた。彼らとしては珍しく屋内の着席式会場でのパフォーマンスは、楽器の分離が良い同ホールの音響が幸いして、アフロ=ポリリズムを柱とする音楽性が明瞭に伝わってきたのが収穫となった。
『オン・ザ・コーナー』
マイケル・ヘンダーソンが中心メンバーとなるはずだったエレクトリック・マイルス・デイヴィス・バンドのオープニング・アクトとして、菊地が1日限りの再結成を受諾した昨年10月の日比谷野外音楽堂公演は、ヘンダーソン・バンドの来日が不可能になり、結局DCPRGの単独出演という想定外の形で開催。しかしそれをきっかけに再始動を決意し、ライヴを重ねてきた。
『ススト』
本作は今年6月に恵比寿リキッドルームで収録されたライヴだ。菊地自身はアルバム化を企図していなかったが、音源を聴いたユニバーサルミュージックからのリクエストを受けて、本作の倍以上ある当日の音源をこの2枚組にまとめている。
DCPRGの再始動に当たり、菊地は2007年の活動休止時点よりも人数を減らした11人編成とし、連続参加の3人を除いてメンバーを刷新。マイルスのバンド運営方法に倣って、若手を積極的に起用した。
『アガルタ』
菊地がマイルス『オン・ザ・コーナー』と菊地雅章『ススト』にインスパイアされて結成したDCPRGは、サウンドの全体像はこの2枚の名盤に加えて、マイルスの『アガルタ』『パンゲア』を想起させる要素が濃い。異なるビートが重なることによって生まれるダイナミズムが、このバンドの真骨頂なのだと改めて思う。トランペッターとしての重責を果たす類家心平、レジー・ルーカスが重なる大村孝佳(g)、骨太のベースを刻んで“マイケル・ヘンダーソン・ショック”を吹き飛ばすアリガスと、菊地を慕う新加入メンバーがいい仕事をしている。
『パンゲア』
マイルスも菊地雅章もリアルタイムでは知らない若者がリスナーの中心だったDCPRGは、ここに来てジャズ・ファンを新たに取り込む可能性が高まった。ユニバーサルのアドヴァンテージを生かして、日本人では初めて名門インパルスからのリリースを実現。レーベルの創立50周年に華を添えたのも朗報である。
【収録曲一覧】
Disc 1:
1. Perfect Days For Jungle Cruise
2. Catch 22
3. New York Girl
Disc 2:
1. Playmate At Hanoi
2. Structure 1 La Structure de la Magie Modeme
3. Mirror Balls
菊地成孔:Naruyosi Kikuchi(cond,CDJ,key)
坪口昌恭:Masayasu Tzboguchi(key)
津上研太:Kenta Tsugami(sax)
類家心平:Shinpei Ruike(tp)
2011年6月、東京でのライヴ録音