

歯科医院には決まった日や時間だけ勤務する「非常勤」と思わしき歯科医師を見かけることがあります。非常勤の歯科医師とはどのような人たちなのでしょうか? 複数の歯科医院を掛け持ちしているのでしょうか? 常勤の歯科医師と比べ、スキルは劣るのでしょうか?テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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非常勤で働く歯科医師は少なくありません。私の歯科医院にも複数の非常勤スタッフがいます。
非常勤にはいくつかのタイプがあります。
一つ目は歯学部を卒業後、大学病院などで臨床研修を受けた後に勤務先として歯科医院を選んでいる場合。
常勤で働く人もいますが、多くの歯科医師は将来、開業医を目指しているので、非常勤として複数の歯科医院に在籍し、経験を積もうと頑張るのです。
二つ目として、大学病院の歯科医師がいわゆるアルバイトで働いているケースがあります。前回、お話ししたように、大学病院には学位の取得を目指している大学院生や、臨床のスキルを身につけるために学んでいる専修科生がいます。
彼らは無給で働いている学生であるため、生活の糧として、週に何回か歯科医院で働いているというわけです。
一方、こうした人たちのスキルはなかなかのものです。それぞれの専門分野で研究や診療に従事しており、専門医を取得している人も多いのです。このため、例えば、むし歯治療などの一般歯科を中心に治療をしている開業医が、
「矯正歯科の治療も手がけたいので、週に1回、矯正の先生に来てもらう」
といった採用の仕方をしていることもよくあります。
ちなみに、定年で退官した大学の教授などが第二の働き先として、非常勤で働くというケースもあります。当然、ベテランですから歯科医院にとっては即戦力になります。その分野の大御所が診てくれるのですから、担当になった患者さんはなかなかラッキーだと思いますね。