もちろん二度とやってはいけないのだが、一度染まってしまった体は二度と白くはならない。だから怖い。ふとしたきっかけで体が思い出し、求めたくなる。
大切なのは、再びやりたくなってしまったことを認めることなのだ。「もうやらない!」「まったくやりたくなんかない」と本当に思えてる人もいるのかもしれないのだが、やりたくなってしまったときに「やりたくなってしまった自分」を認めること。そして、そのことを伝えられる仲間がいることが大事なのだ。その気持ちを人に伝えることってすごく勇気のいることですよね。
田代まさしさんもそのとき取材をした人の一人だ。薬物をやめられず逮捕を繰り返し、全てを失った田代さん。そのとき言っていた。「二度とやりません、ではなく、今日という一日、一日、やらない!という気持ち」だと。一生ではなく、日々、薬をやらないという思いを強くして生きないといけない。それが薬物なのだ。抜けないのだ。だから怖い。
※週刊朝日 2019年4月5日号