“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、日本が実質的にMMTを行なっていると、その経済政策に苦言を呈する。
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私が大学を現役受験した1969年、東大紛争真っ盛りで東大入試がなくなった。そこで、私は一橋大学を受験し、1次試験で落とされた。当時の予備校界の雄、駿台予備学校の入塾テストを受けたが、入れるのは三つあるうちの最も低いクラス。ショックだった(結局、別の予備校に行った)。しか~し、駿台の上位クラスに入れなかったからといって、翌年の東大入試で不合格と決まったわけではない(結局はだめだったが)。Today is not Sunday.(東大は駿台にあらず)なのだから。
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米国では今、「自国通貨建てで借金している限り、政府は財政赤字など心配せずどんどん借金していいよ。政府は限度なく通貨を発行できるからデフォルト(破産)なんかしない」という経済政策が話題になっている。MMT(現代貨幣理論)という。サンダース上院議員や民主社会主義者たちが経済政策のバックボーンに据え、若者を中心に人気だ。
しかし、人気といっても奇策は奇策、異端は異端。私は、ブードゥー経済学とさえ思っている。ブードゥー教は、いけにえの儀式など呪術的な性格から怪しげなものの代名詞だ。
そう考えるのは私だけではない。主流派経済学者やFRBなどの政策当局はことごとく反対だ。シカゴ大学が3月13日公表した調査結果によると、米経済学者40人のうちMMT賛同者はゼロだったという。
米ブラックロックのラリー・フィンクCEOもMMTを「ゴミ」と酷評したそうだし、サマーズ元米財務長官も米紙への寄稿で同理論を「誤り」と指摘し、債務が一定水準を超えれば超インフレにつながると警告したそうだ(日本経済新聞3月15日付夕刊「ウォール街 ラウンドアップ」)。
3月18日の参議院予算委員会で、浅田均議員が麻生大臣に「MMTをどう受け止めるか」と質問した。大臣のお答えは「私どもはそれはちょっといかがなものかという感じが率直にある」(議事録から)と答えられた。質問時間はそこで切れてしまい、浅田議員は「ポール・クルーグマンとかサマーズさんと全く同じ御意見なので、そういうふうに受け止めさせて頂きました」と締めくくった。