が、ア、レ、レである。サマーズ氏の発言は、財政赤字に警鐘を鳴らし「このまま借金を増やすとハイパーインフレになるぞ」という私の主張そのもの、MMTは日本のリフレ派の主張そのものではないか。

 政府・日銀はリフレ派の主張に乗って異次元緩和政策を始めた。なのに、その政策を自ら「それはちょっといかがなものか」と自己否定していいのか? それとも自らの政策がMMTだと理解していないのか?

 米国の政府債務は22兆ドル、名目GDPは20.5兆ドルだから債務残高の対GDP比は107%。その段階で、主流派経済学者や当局者がこぞって「このままだと超インフレになる」と一層の財政悪化に声を上げて大反対する。健全な姿だ。

 日本は債務残高の対GDP比が240%もあるのに、「このままだとハイパーインフレになる」と私が警告すると過激論者と非難される始末。日本は大丈夫か?

 毎日新聞の福本容子論説委員は「フリーランチ(タダ飯)は存在しない。必ず高い請求書が後で回ってくる。M(未来は)、M(もっともっと)、T(大変)」と表現した。けだし名言だ。

週刊朝日  2019年4月5日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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