ザ・ロスト・アルバム・フィーチャリング・ウォーターメロン・マン/ザ・J.B.'s&フレッド・ウェズリー
ザ・ロスト・アルバム・フィーチャリング・ウォーターメロン・マン/ザ・J.B.'s&フレッド・ウェズリー
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ザ・J.B.'sのリーダーによる見逃すべきではない1枚
The Lost Album featuring Watermelon Man / The J.B.’s & Fred Wesley

 1960年代末、“ゴッドファザー・オブ・ソウル”ことジェイムス・ブラウンのバック・ミュージシャンに起用され、70年代にザ・J.B.'sのリーダーとしても活躍。そんなフレッド・ウェズリーがジャズ界に本格進出したのは、90年代初頭だった。

 ザ・J.B.'sの同僚でもあるメイシオ・パーカー(sax)もほぼ同時期にジャズ・ファンにアピールするアルバムをリリース。JB関係者2人が台風の目として、一躍ジャズ・シーンに躍り出た。あの時のインパクトは20年を経た今も、新鮮な記憶として残っている。

 本作は72年に吹き込まれながら、お蔵入りしていた貴重な音源を含む初CD化作である。

事情はこうだ。JBの肝いりで72年にフル・アルバムの完成を見据えて、数回のスタジオ・レコーディングが行われた。同年にオージェイズが放ったヒット曲#11<裏切り者のテーマ>と#12がシングル第1弾で登場。続いて初期ハービー・ハンコック60年代の出世曲#1と、ギルバート・オサリヴァンの72年全米第1位曲#10のカップリング・シングルがリリースされた。しかしアルバムは品番が決定していながら、発売をキャンセル。シングルに関しても、上記第1弾の前に#9&#7のカップリング盤が同年11月の発売予定だったものの中止となり、その後イギリスのみでレコード化されたという経緯がある。当初予定されたアルバム収録曲#1~9のうち、シングルで出た3曲を除く6曲が世界初登場となる。

本作中、最後のレコーディング・セッションからの唯一のナンバー#1は、JBがドラマーで参加したThe J.B.'sの演奏。ハンコックのオリジナル・ヴァージョンがファンキーなピアノを主体とした音作りだったのに対して、こちらは6人編成のホーン・セクションによる主旋律とアンサンブルを柱とする。9曲目までのアルバム本編のうち、ザ・ J.B.'s参加曲はこれだけで、72年9月録音の#2~9はジャズとフュージョンのスタジオ・ミュージシャンを起用。実はジャズ好きのウェズリーのために、JBがプロデューサーを買って出てセッティングしたのが真相である。マイケル・ブレッカーとロン・カーターが存在感を光らせるウェズリーの自作曲#2、ランディ・ブレッカー、ジョン・ファディス(tp)、スティーヴ・ガッドの技が冴えるスタンダード曲#3、編曲者としても貢献するデイヴ・マシューズ作曲のビッグ・バンドらしい楽しさに溢れる#4等々、ジャズ作としても立派な仕上がり。ソウル/ブラックの仕分けだからといって、ジャズ・ファンが見逃すべきではない1枚だ。

【収録曲一覧】
1. Watermelon Man
2. Sweet Loneliness
3. Secret Love
4. Seulb
5. You’ve Got A Friend
6. Transmograpification
7. Use Me
8. Get On The Good Foot
9. Everybody Plays The Fool
10. Alone Again (Naturally)
11. Back Stabbers
12. J.B. Shout
13. Funky & Some

フレッド・ウェズリー:Fred Wesley(tb)
ランディ・ブレッカー:Randy Brecker(tp)
マイケル・ブレッカー:Michael Brecker(ts)
ロン・カーター:Ron Carter(b)
スティーヴ・ガッド:Steve Gadd(ds)

1972年録音

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