私が西武監督1年目となった1995年。それまで5連覇していたチームの主力はベテランが多くなり、転換期にあった。若い力を必要としていた。そのチーム事情もある中で、遊撃には松井稼頭央を据えると決めた。失策しても目をつぶった。2軍に落とすこともあったが、それは2軍の試合で使い続ける意図もあった。翌96年には1軍で全試合出場。チームの主力に成長してくれた。稼頭央くらい一気に球界を代表する遊撃手に育つことは珍しいと思うが、根尾も小園も同等の能力はあると見る。

 話は変わるが、オープン戦を見ていて、打者は一段と「強く振る」という意識が浸透しているなと感じた。ロッテドラフト1位の藤原恭大も高卒新人でありながらスイングは強い。体の大きさに関係なく、まずはしっかり振れなければ、球界全体のレベルアップの流れから取り残される。ソフトバンク、西武、広島といった強いチームは選手全体にその意識は浸透している。

 そうなると、投手の意識も変わる。より強いストレートが求められるし、緩急でいえば、より遅く、タイミングを完全に外せるカーブは、カウント球として一層効果的となる。20年には東京五輪があり、翌21年にはWBCを控えるが、巧いだけでは、世界のトップにはなり得ない。開幕以降も、選手の意識の変化を感じとりながら見ていきたい。

週刊朝日  2019年3月22日号

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