総務省の消費支出(総世帯)によると、2018年は1世帯当たり月約24.6万円と実質(変動調整値)の前年比で1.0%減少し、5年連続の低下。これは家計が節約を続けていることを裏付けるもので、値上げラッシュがさらに節約を促す可能性があることから、賃上げがどうなるかが今後の動向を見るうえで重要になってくる。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは、賃金統計を巡り政府当局が不適切な調査をしていなければ勤労者の給料は上がっていなかったと指摘する。一方で、社会保障関連費用などは上がっているという。
「勤労者の可処分所得、すなわち手取り額は減っており、みなさんが実感しているところです。その対策として、例えば外食をする際には、ランクを下げて値段の安い方へ行くしかないでしょう」
こうした状況での相次ぐ値上げは消費者の財布のひもをより固くし、消費を低迷させるとみている。この対策としては給料を上げるしかないが、今年の春闘で経営者の多くがこの先、景気が悪くなるとみており、そのようなときに給料は上がらないと話している。
最近は物を買って保有するより、シェアするなどのシェアリング経済が盛んになってきている。荻原さんは「人々が地に足を着けた暮らしをしていこうとしており、生活の形態が変わってくる」とみている。
みずほ総合研究所・主任エコノミストの大野晴香さんは消費の現状について、「それほどネガティブに見るほどの状況ではない」という。原油価格が下がってきているなどエネルギー価格が落ち着いていることを挙げている。一方で、こうも話している。
「企業の生産動向は鈍ってきていて、賃上げに結びつく企業収益に影響が出てくれば消費にもマイナスの影響が出てくるかもしれない」
今年の春闘は、従来のような一律賃上げの雰囲気でなくなってきている。値上げラッシュという消費者マインドへの影響を、春闘でどこまで打ち消すことができるのだろうか。(本誌・浅井秀樹)
上段左側から日本水産の「活ちくわ」、紀文食品の「甘さひかえめ伊達巻」と「揚ボール」、日本水産の「おさかなのソーセージ」、明治の「ブルガリアヨーグルト」と「おいしい牛乳」と「エッセル スーパーカップ 超バニラ」、サントリー食品インターナショナルの「ペプシ Jコーラ ゼロ」と「サントリー 烏龍茶」と「C.C.レモン」、マルハニチロの「月花さば水煮」(各社提供)
※週刊朝日 2019年3月15日号